あこがれの雲の平


  <山行日程> 1999年10月3日〜10月6日

[1日目]  大阪 − 新穂高温泉 − わさび平小屋 − 鏡平小屋(泊)
[2日目]  鏡平小屋 − 双六小屋 − 三俣山荘 − 黒部源流 − 祖父岳 − 雲の平山荘(泊)
[3日目]  雲の平山荘 − 三俣山荘 − 双六小屋 − 鏡平小屋(泊)
[4日目]  鏡平小屋 − わさび平小屋 − 新穂高温泉 − 大阪 


3000m級の山々が、あっという間にオレンジ色に燃える。
夕日が作り出した、感動の一瞬。10/3、PM5:33からPM5:36のこと。 鏡平山荘で迎えた夕刻。雲が多く諦らめていた時に、山荘の主人が「山焼け」を知らせてくれた。 泊り客のほとんどが、カメラを持って外へ飛び出した。 高山ならではのハプニング、苦しかった初日の疲れがフーと消えてしまったように思えた。

<1日目>
早朝4時に大阪を出発。松本に入り安房トンネルを越え、11時前に新穂高温泉の駐車場に到着。 小雨の降る中、合羽を着込み11時20分に登山開始。
わさび平小屋まではガスの中。ブナ・白樺などの木々や川の流れが幻想的に見え、 別世界の小道を歩いているよう。 やがて、急な登りに入り樹林の中を徐々に高度を稼ぐ。 秩父沢の木橋を渡り、きつい登りを一歩一歩進む。 シシウドガ原辺りから、徐々にガスが上がってきた。鏡平までは、あと少し。
鏡平に着いた時、突然、視界の中に槍・穂高の雄姿が入る。池塘に映る槍・穂高、木々の紅葉、 山の大きさに圧倒される。

<2日目> 翌朝の朝焼け、青い空と赤い雲、槍ヶ岳と穂高連峰のシルエットがくっきり浮ぶ。 紅葉と池に映った逆さの槍を見ていると、幸せな気分になった。
雄大な景色に見とれ、出発が遅くなる。弓折岳の稜線まで、きつい登り。 稜線に出ると、視界が開ける。笠が岳や西鎌尾根、槍・穂高の眺望を満喫しながら、双六小屋に着く。
三俣山荘へは、双六岳の稜線を通らず、お花畑の多い下の巻き道コースを行く。 ナナカマドの葉が色づいている。 後ろを振り向くと、槍ヶ岳の穂先が鋭く天を指している。 三俣山荘からは、一度黒部源流に降り、源流をのぼりつめ、岩苔乗越へ。 「黒部川はここから始まる」という文字が岩に書かれている。黒四ダムを思い、黒部川のロマンを感じた。
水晶岳まで行きたかったが、時間が足りない。荷物を置いて、ワリモ岳の分岐まで登る。 北アルプスのど真ん中、眺望がすばらしい。 裏銀座コースの真砂岳、野口五郎岳の白い山肌が印象的だ。
岩苔乗越へ戻り、祖父岳へ向う。雲の平と水晶岳を見ながらの楽しい稜線歩き。 祖父岳の山頂は平で広い。ガスが出てきて寒い。ルートを確認しながら慎重に下る。 雲の平の木の道を進み、山荘へ到着。疲れた。
この日の山焼けもすごい。祖父岳と流れる雲がオレンジ色に変わる。水晶岳が鮮やかなオレンジ色に 燃えた。

<3日目>
朝の雲の平は、寒い。気温が氷点下になり、池塘には氷が張っている。霜柱の上を歩くと、 ザク、ザクと気持ちがいい。 祖父岳を右に巻き、黒部源流へ。雲の平を後にするのが心残りで、何度も振り返った。
黒部源流から三俣山荘へ、来た道を戻る。ハイマツの中を三俣蓮華岳の分岐へ。 帰りは、三俣蓮華岳へ登り、稜線を歩く事にした。山頂からは、雲の平、祖父岳、鷲羽岳、水晶岳の 眺めが最高。
稜線歩きは、風が強く飛ばされそうになる。それに寒い。ひどい天候だ。 双六小屋で遅い昼食をとり、ゆっくり鏡平山荘まで降りた。

<4日目>
この日も、きれいな朝焼け。池の前の舞台には、カメラが並ぶ。 赤い雲と黒い山のシルエットが幻想的な景色を演出する。ずーと見ていたい。 下りは3日前に登って来たルートを戻った。
人間の力の及ばない自然の中に身を委ね、あるがままの自然の恩恵に触れる。 そんな素晴らしい「雲の平」山行でした。



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槍ヶ岳の山焼け。

夕食前の突然の出来事だ。槍ヶ岳から穂高連峰まで山が真っ赤に燃えた。17:33、小屋のオヤジの知らせでほとんどの人がカメラを持って外に飛び出した。
約3分間の、思いがけない山のドラマを見せてもらった。

<鏡平>



朝焼けの穂高連峰

赤く染まった雲と、穂高連峰のシルエットが美しい。

<鏡平・鏡池より>



鏡平山荘のあるじと記念撮影。

左から、私、山荘のあるじ、浅野氏。

<鏡平山荘にて>



一面の霜柱

この朝、この秋一番の冷え込みで初霜が降りた。
霜柱がキラキラ輝いていた。遥か向こうに焼岳、乗鞍岳が見える。

<双六小屋手前の稜線にて>



もうすぐ双六小屋。

後方に鷲羽岳を望む。

<双六小屋手前の稜線にて>



シラタマノキの実

<双六小屋付近>



遥かに槍ヶ岳を望む。

どこから見ても、先の尖った槍ヶ岳はすぐわかる。
数年前、西鎌尾根を縦走し槍ヶ岳まで行った。近い内にまた縦走したい。

<三俣蓮華岳付近>



ナナカマドの紅葉と鷲羽岳

<三俣蓮華岳付近>



鷲羽岳と水晶岳。

今回は、どちらの山も登れなかった。
見た目にもきれいで大きな山だ。次回は水晶岳まで縦走したい。

<三俣蓮華岳付近>



ハイマツの緑が美しい。

後方の山は三俣蓮華岳。

<三俣山荘から>



祖父岳への稜線から雲の平を望む。



雲の平山荘と木の道

数年前にはなかった木の道が、雲の平のアクセントにもなっているようだ。
10月の雲の平は登山者も少なく、ますます静かだ。
なにか、心がおだやかになっていく。

<雲の平の真中>



水晶岳の山焼け

この日も山焼けを見ることができた。ラッキー。
雲の平をガスが走る。昼間は黒い水晶岳が真っ赤に燃える。神秘的なきれいさだ。

<雲の平山荘より>



チングルマのワタゲ

<雲の平>



スイス庭園から赤牛岳を望む。

池唐には氷が張っていた。

<雲の平・スイス庭園>



雲の平から赤牛岳、五色が原、立山を望む。



ワリモ岳と黒部源流

左側の沢が黒部川の源流。
前日、その源流を登り詰めたところに、
「黒部川はここから始まる」という文字が
大きな石に書かれていた。



北鎌尾根に朝日があたる。

池に映った空と木の橋が、山の緑になじんでいる。気持ちの落ち着く景色だ。

<鏡平山荘の2階から撮影>




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